Sunday, July 27, 2008

企業の社会的責任 CSR: Corporate Social Responsibility

企業の社会的責任
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企業の社会的責任(きぎょうのしゃかいてきせきにん CSR: Corporate Social Responsibility)は、企業が利益を追求するのみならず、組織活動が社会へ与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダーからの要求に対して、適切な意思決定したことを指すものである。

企業の経済活動にはステークホルダーに対して説明責任が有り、説明出来なければ社会的容認が得られず、信頼のない企業は持続できないとされる。 持続可能な社会を目指すためには、企業の意思決定を判断するステークホルダー側である消費者の社会的責任(CSR:Consumer Social Responsibility)、市民の社会的責任(CSR:Citizen Social Responsibility)が必要不可欠となる。

目次 [非表示]
1 概要
2 地域によるCSRの相違点
2.1 ヨーロッパ企業における考え方と特徴
2.2 アメリカ企業における考え方と特徴
2.3 日本企業における考え方と特徴
2.3.1 江戸商人の家訓
2.4 CSRの多様性
3 ISOの動向
4 市場との関わり
5 脚注
6 関連項目
7 外部リンク



[編集] 概要
21世紀に入ってから、企業の社会的責任について様々な局面で求められることが多くなっている。 企業の社会的責任といった場合、エンロン、ワールドコム等の重大な企業の不正行為の発生によって強く意識されることとなった、アメリカ型の利害関係者(ステークホルダー)に対して説明責任を果たし、会社の財務状況や経営の透明性を高めるなど、適切な企業統治とコンプライアンスを実施し、「リスクマネジメント」、「内部統制」を徹底する活動と、ヨーロッパ型の企業の未来への投資の一環として持続可能な社会を実現するため、環境や労働問題などについて企業が自主的に取り組む活動という2つの側面があげられる。 これら2つの側面は互いに強くかかわりあっている問題であり、適切な企業統治やコンプライアンスを実施することなしに、環境や労働問題の改善を図ろうとすることはしばしば企業の永続性の問題を生じさせるであろうし、自社の利害関係者(ステークホルダー)に対して説明責任を果たしていく過程においては、環境や労働問題の改善を図る活動を求められることもでてくることになろう。

誤解されやすいことであるが、CSRはコンプライアンスそのものや、顧客や消費者に、その企業に対しての信頼や安心感などプラスのイメージを与えることを企図したPR活動やCI活動とは峻別される。PR活動やCI活動は企業の営業活動の一環としておこなわれるものであるが、CSRは企業経営の根幹において企業の自発的活動として、企業自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていく活動である。また、企業倫理とも誤解されがちであるが、企業倫理が、営利活動を含めた企業のすべての活動を行う際の規範であるのに対して、CSRは企業の自発的活動であり、あるいは企業行動に際して、社会的存在としての企業が、利害関係者(ステークホルダー)から、あるいは社会から自発的に行動するよう求められるものである[1]。

一般に企業は経済的な利益を上げることにより永続的な存在となることを目指す法人であるが、企業の行動は単にその企業の利益のみによって計れるものでも、限定されるものでもないため、市民としての企業(企業市民)の、企業の社会的業績も当然企業の行動の結果として現れることになる。よって望ましい企業の社会的業績が実現できるよう市民としての企業(企業市民)は行動するべきであるというのがCSRについての考え方である[2]。

厳密には、CSRは概念が固まっているとは言い難く、明確に定義することは困難であるが、最も基本的なCSR活動として挙げられるのは、企業活動について、利害関係者(ステークホルダー)に対して説明責任を果たすことであるとされる。

歴史的には、環境問題が盛んに言われるようになった頃から、企業の環境破壊に対抗する主張として考え方の基礎がつくられ発展したと言われるが、環境(対社会)はもちろん、労働安全衛生・人権(対従業員)、雇用創出(対地域)、品質(対消費者)、取引先への配慮(対顧客・外注)など、幅広い分野に拡大している。なお、国連では、このうちの「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則をグローバル・コンパクトとして提唱し、世界中の企業・団体に参加を呼びかけている。

CSR活動への評価は、企業の社会的業績として多くの人々によって検討されるため、株価にも反映されやすい。反対に、商品の欠陥などの不祥事やスキャンダルなどで、社会的責任を果たしていないと判断された企業では、売り上げや株価が落ちることもある。


[編集] 地域によるCSRの相違点
前述の通り、CSRは、持続可能な社会を目指すために企業も責任を持つべきであるという考えのもとに成立した概念であるが、そのアプローチの仕方には、国や地域によって、考え方に違いがみられる。


[編集] ヨーロッパ企業における考え方と特徴
ヨーロッパにおいては、消費者に対するイメージ向上を狙い、顧客誘引力を上げようという考えによって行われる活動はCSRとして評価されていない[3]。ヨーロッパにおけるCSRとは社会的な存在としての企業が、企業の存続に必要不可欠な社会の持続的発展に対して必要なコストを払い、未来に対する投資として必要な活動を行うことである。時として、これはアメリカ型の市場中心主義へのアンチテーゼとして語られることもあるが、EUが主導的に様々な基準を整備していることや、環境、労働等に対する市民の意識が高いこともあり総じて企業としてCSRに対する取り組みは包括的で、企業活動の根幹として根付いている。これに対して近年EUに加盟したり、しようとしている東欧諸国などにおいてはCSRはしばしばEU水準の企業統治の実現や法令順守の問題として理解されている[4]。


[編集] アメリカ企業における考え方と特徴
アメリカ企業においては、企業が株主のものであるとする考え方が徹底されており、一般の市民も多い株主への説明責任という観点から、企業のCSRへの理解、認識は歴史的に深い。 しかしながら、ワールドコム、エンロンの事件にみられるように、しばしば企業の社会的責任についての考え方は企業収益と企業価値の向上(株式総額の向上)への指向によって歪められてしまうことも多い。

このためアメリカでは米国企業改革法等を通じて、企業経営者に各ステークスホルダーに対する説明責任の徹底を求め、米国証券取引委員会(SEC)等がこの実現に目を光らせることとなった。


[編集] 日本企業における考え方と特徴
日本においては、CSRに対する取り組みは諸外国に比べても早く、1970年代から企業の社会的責任ということばが使われていたことが知られている。しかしながら、一般に日本企業がCSRに期待するものは、「企業の持続的発展」であり、そのため、しばしば企業の社会的責任は企業の社会的貢献や企業イメージの向上を図る諸活動のように考えられ、このため企業収益を実現した後の活動として理解されることが多かった。実際、企業活動における利益実現が主の目標でCSRは従と考えている企業経営者はいまだ多く、利益幅の小さな企業におけるCSRの活動の取り組みはあまり進んでいない[5][6]。 近年特に企業不祥事とそれに対する企業統治の実現や法令順守の問題の文脈でCSRが語られることが多く、こうした状況は前述の東欧諸国などの企業の状況と相通じるものがある[4][5]。 経済団体などではCSRの普及に努めており、一定の成果をみせているものの[7][1] 特に日本の企業において圧倒的に多い中小企業の意識の変化には時間がかかると思われる。なお、調和を尊ぶ日本社会においてCSRは経験的に会得されたり、実践されているという主張もあり、そのような主張では江戸時代の学者石田梅岩の記述や、三井家や住友家などの江戸時代の商人に代々引き継がれた家訓などを引いて日本の伝統的企業経営とCSRは矛盾しないとされている。


[編集] 江戸商人の家訓
石田梅岩の記述
「二重の利を取り、甘き毒を喰ひ、自死するやうなこと多かるべし」
「実の商人は、先も立、我も立つことを思うなり」
三井家家訓(宗竺遺書)
「多くをむさぼると紛糾のもととなる」
「不心得の一族は協議し、処分せよ」
住友家家訓
「職務に由り自己の利益を図るべからず」
「名誉を害し、信用を傷つくるの挙動あるべからず」
「廉恥を重んじ、貪汚の所為あるべからず」
「我営業は信用を重じ、確実を旨とし、以て一家の鞏固隆盛を期す」
近江商人の家訓
「三方よし」「売り手よし、買い手よし、世間よし」

[編集] CSRの多様性
このように、CSRは地域、国家によって様々な考え方を基に改善、成長した概念であり、ミクロ的には企業ケース毎に優先されるべきことに差が生じるものである。 国連やISOでは、EU等の地域別、国家別の思想・意識差を前提とした上で、基盤となる国際的なガイドラインが策定されている。


[編集] ISOの動向
国際標準化機構では、環境分野について1996年にISO 14001として環境マネジメントシステムに関する規格を発行している。この規格では組織が継続的な改善を行う様、PDCAサイクルを構築する枠組みが明確化されており、特に著しい環境側面に対する組織の対応が重要視されている。ISO 14001は特定の環境パフォーマンス基準は定めないため、組織が独自でCSR報告書又は持続可能性報告書、環境報告書などでコミュニケーションを図ることになる。

2001年4月、ISO理事会においてCSR規格の可能性を決議、翌年から消費者政策委員会(COPOLCO)内で検討がなされ、CSR規格化は望ましくISO9000s及びISO 14000sをベースに可能な見解を示し、それらを取りまとめた調査報告書が提出された。2002年9月、これを受けた技術管理評議会(TMB)内で規格化に関して作業が始まるが多岐に渡るため難航した。審査登録制度(認証)を伴わないガイダンス用の規格案として提出され、世界自然保護基金の異論も添付された。
ISOでは、社会的責任を負うのは企業(Corporate)及び組織だけではないという議論を得て、社会的責任(SR: Social Responsibility)の称呼で策定が続けられている。[8]


[編集] 市場との関わり
CSRを投資の重要な指標とする投資方法として社会的責任投資(SRI)がある。


[編集] 脚注
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^ a b 「特集 - CSRの観点から問い直す市場の役割と責任」(pdf) 『経済同友』2006年、3月号、経済同友会
^ 企業行動憲章 - 経団連
^ 企業の社会的責任-欧州調査報告、アンケート調査結果- - 提言・意見書 2003年02月04日 経済同友会
^ a b 佐久間京子 「欧州レポート(15) EU各国で進むCSRの取り組みの現状と課題」(pdf) - NIKKEI NET
^ a b 日本企業のCSR:進捗と展望-自己評価レポート2006 (pdf) - 提言・意見書 2006年05月23日 経済同友会
^ 「企業の社会的責任 (CSR)」についてのアンケート調査 - 東京商工会議所
^ 廣瀬博「CSRを日本企業の「強み」にする」(pdf) - 『経済Trend』2004年、11月号、60-61頁、日本経団連
^ 社会的責任(SR) ISOにおけるSR国際標準化活動の経緯 - 財団法人日本規格協会

[編集] 関連項目
社会的責任投資(SRI)
インベスター・リレーションズ(IR)
ピグー税
フィランソロピー
企業倫理
社会的企業
石田梅岩
二宮尊徳

[編集] 外部リンク
経団連のCSR活動のページ
経済同友会のCSR活動のページ
日本総研のCSRアーカイブ
国連のグローバルコンパクト
環境省環境にやさしい企業行動調査
経済産業省環境経営・環境ビジネス支援政策
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E8%B2%AC%E4%BB%BB" より作成
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